Translohr

皆さんは「タイヤトラム」という乗り物をご存知でしょうか?"タイヤ"は文字通りゴムのタイヤ、"トラム"は市街電車(路面電車)、ということで、鉄の車輪ではなくゴムタイヤで走行する路面電車のことです。通常の路面電車は、道路にレールが敷いてあってその上に車輪が載って走行しますが、タイヤトラムにはそれがありません。タイヤなので通常のアスファルト舗装の上を走れ、もちろん車がそこを通ることも可能なのです。
「じゃあどうやって曲がるの?」とお気づきの方もいるはず。通常の路面電車はレールがあるのでその方向に進んでいきます。タイヤトラムは、1本のレールが道路に埋め込んであって、特殊なガイド車輪がこのレールを挟み込んでその方向に進んでいきます。レールは細く、またうまく埋め込んであるので車が通る時にも邪魔になりません(自転車だと、斜めに横切る時にタイヤをとられる危険性はあるかも)。
クルマ社会を見直し、排気ガスを減らそうという世界的な流れの中、路面電車の発展形といえるタイヤトラムはにわかに注目を浴び、すでにヨーロッパや中国で導入が決まっています。日本でもこのタイヤトラムを導入しようと、某商社を中心とした企業グループがフランスのTranslohr(トランスロール)社のタイヤトラムを持ち込み、大阪で走行試験を続けています。幸運にも、この試験の様子を見学する機会を得ましたので、会社をサボって有休をとって行ってきました。
 
最寄り駅から車で20分、荒れ果てた埋立地を進んだ先にぽつんと現れたプレハブの事務所と仮設の研修庫はいかにも実験施設といった雰囲気。そしてその奥にタイヤトラムの姿がありました。実験線の延長は約300m、途中にポイントあり急坂あり急カーブ(半径10m)あり、舗装の状態が変えてあったり、架線柱も全て形が違っていたりと、見ててわくわくするものでした。
試験線の概要説明や試乗など、あっという間に1時間の見学が終了。なにぶん実験線ということで企業秘密が満載、写真撮影も制限されていたので詳細はお見せできませんが、日本の交通事情を改革するには十分な実力を垣間見ることができました。