お産をどうする!

お産をどうする!島根・隠岐諸島に産科医派遣打ち切り
島根県隠岐諸島で今月中旬からお産を扱う病院がなくなることが分かった。
公立隠岐病院(隠岐の島町、笠木重人院長)に産婦人科医を派遣してきた県立中央病院(出雲市)が派遣を打ち切るため。中央病院の医師が今後、週1、2回、往診するが、妊婦は松江市などに渡って出産に備えなければならず、隠岐の島町隠岐病院は4日、妊婦や家族を集めて説明会を開いた。
隠岐諸島の人口は約2万3000人。隠岐病院では、年間約130件の出産があり、島根大などから医師が赴任していた。しかし、人手不足で一昨年9月、島根大が派遣をやめ、中央病院も先月、派遣中止を決めた。この間、町と隠岐病院は医師を探し、関西在住の医師の赴任が内定していたが、家族の病気で着任は当分不可能になった。
同病院には約60人の妊婦が通院しており、この日の説明会で笠木院長は「予定日1か月前には島外へ移っていただきたい。申し訳ない」と陳謝し、交通費の支援などの検討を約束した。5月に2人目の出産を控えている主婦(29)は「島を離れて出産するのは心細い」と困惑していた。
産婦人科医は全国的に不足気味で、厚生労働省は「医師不足の改善は容易ではない。行政や大学、医師会で話し合っていくしかない」としている。

(ソース:読売新聞

公立病院でこの対応である。これは隠岐だけの問題ではない。一方で少子化対策を叫びながら、現実にはこのような事態が全国のあちこちで起きている。おそらく産婦人科だけではなく、そのうち他の診療科においても同じように医師がいなくなっていくに違いない。過疎地域に住むなと言っているに等しいわけで、政府や自治体には猛省とともに早急な対応をしていただきたいものである。

大学時代に、建築の視線から産婦人を研究したYAKUMOですが、建築屋の目から見ても産婦人科というのは大変な仕事だと感じました。昼も夜も盆も正月もない生活。恐らくやりがいがなければやってられない仕事でしょう。一方で、元医師である永井明氏のエッセイに紹介されていたのですが「医者として、来院した人に『おめでとうございます』といえるのは産婦人科しかないだろ?まさか胃癌の患者に『おめでとうございます、見事な胃癌ですねえ』なんて言うわけにもいかんだろうし」というのが、産婦人科の先生の心を支えているのだと感じました。
人の生死、国家の生死、地球の生死に直接かかわる仕事。しかるべき環境を整えてあげる必要を、役人は感じていないのでしょうか。