尼崎事故で思うこと(4:国の思惑、議員の思惑)

ニュースソースはあっちこっちにあるので省略します。
 
まず、事故を起こしたJR福知山線の運行再開時期について、JR西日本では当初「5月の連休明けくらいに復旧させたい」と発表したものの、国土交通大臣の「ATS-Pの設置が完了するまで復旧は認めない!」発言を受けて急遽撤回、復旧時期を7月上旬に改めた、というもの。
JR西日本の「安全」と「利益」に対する批判はもちろんあるものの、一企業として早期の営業再開を目指すのは当然のことでしょう。また、交通機関という公益性の高い企業であるからこそ、安全の確保とともに早期復旧による交通確保は必要だと考えます。事実、私の周りの人でも朝夕の通勤に非常に苦労しています。時間が倍かかる上、列車の混み方が尋常ではなく、毎朝へとへとになって通勤しているそうで。
 
ATS-Pさえ設置すれば安全が確保されるとでも信じているかのような、国土交通省(およびマスコミ)の「ATS絶対主義」とでもいうべき考えも、何かが間違っているような気がします。じゃあ全国に多くある、ATS-Pが設置されていない急カーブ区間はどうするのかと。今もそこで列車は走っているわけで。
国交省としては、ATS-Pの導入を推進してこなかったことによる批判をかわすために、オーバーアクションで切り抜けようという魂胆なんでしょうか。それにしても「急カーブにはATS-Pを導入しろ!導入しないと罰則をつけるぞ!」という素晴らしい考え、敬服です。阪急や山陽なんかは、区間ごとに制限速度を定め、常に速度超過をチェックするという、ATS-Pよりよっぽど安全な(むしろATCに近い)ATSを設置しているのですが、どうも国土交通省は杓子定規にATS-Pの設置を義務付けそうな勢いらしいです。というか、そもそもJR西日本が導入しているATS-SWも、速度照査は可能なわけで、ということは適切な位置に地上子をつければ十分なのですが、ATS-Pでしか実現できないと思っている人が多すぎます。
 
あ、北側国土交通大臣って堺の人なんですね。宝塚の人がどれだけ通勤に困っているかは関係ないのかな。阪和線はほぼ直線でカーブがないし。そういえば事故を受けて視察したのも南海電鉄でしたしね。地元が第一、実に素晴らしいことです。